プテロスチルベンは PPARδ を介して筋細胞の異所性脂肪の蓄積を減少する

プテロスチルベンは PPARδ を介して筋細胞の異所性脂肪の蓄積を減少する

鈴木真彩1, 米本英都1, 高谷智英2,3, 東村泰希4, 三谷塁一1,3.

  1. 信州大学大学院総合理工学研究科.
  2. 信州大学バイオメディカル研究所.
  3. 信州大学農学部.
  4. 石川県立大学生物資源環境学部.

第83回日本栄養・食糧学会中部支部大会 (静岡), 2024/11/23 (口演).

Abstract

【目的】骨格筋や肝臓など、本来脂肪を溜め込まない臓器に蓄積した脂肪を異所性脂肪といい、骨格筋への蓄積は筋力やインスリン感受性の低下を惹起する。従って、骨格筋への異所性脂肪の蓄積を抑制することは、運動機能の低下や2型糖尿病の発症予防につながると考えられる。本研究では、ブルーベリーの果実に含まれるプテロスチルベン (Pte: 3,5-dimethoxy-resveratrol) が筋細胞への異所性脂肪の蓄積を抑制することを見出したので、その分子メカニズムについて紹介する。

【方法・結果】筋芽細胞株 C2C12 細胞における脂質蓄積の抑制効果について、Pte の構造活性相関を調べた結果、3,5位のメトキシ基が脂質蓄積の抑制に寄与することが示された。Pte の添加により変動する遺伝子群を解析した結果、脂肪酸代謝 (β酸化) に関与する遺伝子の発現量が増加した。一方で、脂肪酸合成関連遺伝子の発現量には影響を示さなかったことから、Pte は蓄積した脂肪酸の代謝を促進することで脂質蓄積を減少することが示唆された。β酸化関連遺伝子の多くは核内受容体である PPARδ と ERRα により制御される。これらの転写活性をレポーターアッセイで解析した結果、Pte は ERRα には影響を及ぼさず、PPARδ の転写活性を増加した。PPARδ が Pte による脂質蓄積の減少に関与するのかを siRNA を用いて解析した結果、PPARδ のノックダウンにより、Pte による脂質蓄積の抑制効果は減弱化し、β酸化関連遺伝子発現量の増加もキャンセルされた。Pte が PPARδ のリガンドとして機能するのかを one-hybrid アッセイで評価した結果、Pte は直接リガンドとして PPARδ の活性化に寄与しないことが示された。以上より、Pte は筋細胞において PPARδ を介してβ酸化関連遺伝子の発現を増加し、異所性脂肪の蓄積を抑制することが示された。